債務整理とETCカードの利用

こんにちは。大阪の司法書士小林一行です。

最近、債務整理でクレジットカードが使えなくなるのは仕方ないとして、ETCも使えなくなるのですかというご質問を立て続けにいただきました。

基本的にはETCカードもクレジットカードなので使えなくなります。

しかし、実際車をお仕事でご利用になさっている方ではETCがないと不便という事も多々あると思います。

そこで僕は、ETCパーソナルカードというのをいつも依頼者の方にご紹介させていただいています。

高速道路会社が共同で発行しているカードでクレジットカードではありません。最初に一定の預託金を収める必要がありますが、あとは利用回数に応じて、毎月銀行から引き落としになります。

ETCパーソナルカード

上記が団体のホームページです。債務整理を検討しているけども、ETCも今後必要という方はぜひご検討いただければと思います。

時効の主張と訴訟の取り下げ

1405066505237 1405066499040こんにちは。大阪京橋の司法書士小林一行です。

時効にかかっている借金について、貸金業者から訴訟を起こされているので対応してほしいというご依頼を受けました。

さっそく原告に電話して、このまま訴訟を維持しても、時効の抗弁を提出すること、そうすれば、原告が敗訴するので、訴訟費用敗訴者負担の原則により、無駄な経費が発生すること等を主張して、訴訟を取り下げをしてもらう事に同意していただきました。

時効は、時の経過により発生するものですが、その事実を裁判上または裁判外で援用しなければ、確定的な効力は生じません。

そのため、電話だけでなく、答弁書を持って時効を援用する旨の主張もしておきました。

本当は債権が存在しないことの和解も締結してほしいところです。なぜなら訴訟を取り下げても既判力が生じず、再度訴訟を提起することができるからです。

しかし、業者としては、あえて自分の債権がないという事を確認するインセンティブは全くないので、時効に関しては訴訟を取り下げてもらうことがマックスの方法なのかと思います。

あえて債権不存在の訴訟を起こすのもお客様に過度な費用負担をかけてしまいますからね。

だいぶ昔の取引で債権者から訴訟を起こされた場合、まずは時効になっていないかを確認してください。金融業者から借りていた場合、一般的には最後の返済から5年で時効は完成しています。

今回の記事とは関係ないのですが、写真は先日、所有権移転登記を申請した大阪法務局東大阪支局です。

過払い訴訟に対する逆調停

こんにちは大阪京橋の司法書士小林一行です。

なにかとバタバタしていましてだいぶブログの更新が遅れてしまいました。

A社に対して過払いの訴訟を起こす予定なのですが、ひとつ大きな問題が発生しました。

もともとA社は提示額がきわめて低いので、任意での和解は難しく訴訟を起こす旨を担当者に伝えると、それならばこちらは依頼者を相手取って調停を起こすとのこと。

正直このようなA社の対応は理解に苦しみます。相手の言い分としては、過払い額を減額してほしいからとのことなのですが、そのような主張は訴訟の場でも自由に述べることができます。

にも関わらずあえて調停を起こすというのは、依頼者への嫌がらせ以外のなにものでもありません。調停を起こせば、依頼者のご住所へ調停の申立書が届きます。そうすると家族に借金をしていた事実がばれてしまいます。

ばれるのが嫌なら訴訟をするなという事です。

私「そのような調停は本人の家族に知られてしまい精神的苦痛を生じるので不法行為に基づく損害賠償も請求しますよ」

と伝えると

担当者「調停の申立書を送るのは裁判所の判断でやってる事なので、私たちの関与することではありません」

と。

「いやいや!調停起こしたら、相手方に防御の機会を与えるために、裁判所が申立書を郵送するのは当たり前じゃないですか。郵便物が依頼者の住所に届くようにする意思を決定しているのはどこまでいってもA社さんですよ。」

と言っても

「社の方針なので」

の一点張りです。話にならないので、その場で電話を切りました。

A社のこのような行為は悪質なので、調停を起こさないように求める内容証明を送って、損害賠償の証拠を作ってから訴訟を起こすことも考えました。

しかし、そうだとしても結果的に調停を起こされてはやはり依頼者の方にご迷惑をかけてしまいます。

こちら側から先手を打って調停を起こすことも考えています。

さすがにこちらからA社の管轄裁判所に調停を起こせば、A社から依頼人の管轄裁判所に調停を起こすという無茶苦茶なことはしないと信じたいです。

本来こちらからの訴訟提起に対して、被告が調停を起こすというのは、二重起訴禁止(民訴142条)の理念に反します。被告が起こしているのは調停なので、そのまま同条の規定が適用されるわけではないですが、訴訟経済の無駄、応訴の煩わしさの防止、矛盾判断の禁止という同条の趣旨はそのまま調停のケースでもあてはまるといえるでしょう。

こちらから調停を起こすと、管轄はA社の本店所在地の裁判所になるので(過払い訴訟は原告の住所地も管轄にできますが、調停は申立人の住所地を管轄にできないため)相手の管轄裁判所にまで出向く必要があります。

このような無駄な訴訟費用を依頼者の方に立て替えていただくのは心苦しいものがあります。

A社が満額和解の提案に応じるとも思えないので、調停は不調に終わり、再度訴訟を起こすこととなります。

回収までにかなりの日数を要する事が想像に難くないです。

しかし、ご家族の方に秘密に進めていくにはこの方法しかないのではないでしょうか。

もっともこの方法すらも相手が管轄が違うのをいいことに意味のない逆調停を起こしてこないともいいきれないので依頼者の方が絶対ばれたくないという場合はそのリスクを説明したうえで訴訟を断念する必要があります。

恐喝とまでは言わないまでも、相手の弱みにつけこんで、権利行使を断念させる卑劣なやり口はいかがなものでしょうか。これが東証一部上場会社のやり方かと思うと悲しくなります。

ぜひ、姑息な手段ではなく、金利の取りすぎがおかしなくないというなら正々堂々と裁判で戦ってもらいたいと思います。

受任通知と内容証明

こんにちは大阪京橋の司法書士小林一行です。

最近は阪神が調子いいですね。僕はものすごい虎キチというわけではないですが、やはり地元のチームが活躍するのはうれしいです。このまま優勝まで突っ走ってほしいですね^^

僕は債務整理の受任通知は普通郵便で出します。本来は重要書類なので書留や内容証明で出すのが理想だとは思いますが、書留等はコストがかかるので経費削減のためです。

しかし、ちょっと前に内容証明で受任通知を出した事案がありました。

それは、一回完済して再借入れしている業者の場合です。

旧取引きと新取引の間の空白期間が長い場合、取引が分断され、別取引とみなされる可能性があります。しかも分断されるという事は、旧取引きの完済日から10年以上が経過した場合、旧取引きの過払い分は時効にかかってしまうというリスクが生じます。

そのため、最初に完済したのが10年くらい前でかつ取引分断の可能性がある場合は、念のため旧取引きの過払い分について時効中断措置を取っておく必要があります。

その方法として受任通知が民法153条の催告になりえます。

単なる債務整理の通知では催告とは言い難いですが、過払いが発生することを条件に過払い請求をする意思を文面上明確にしていれば催告になるとするのが裁判例のようです。

しかしせっかく催告をしたのに後でその事実を裁判で証明できなければ、暫定的な時効中断が生じていないのでやはり時効の抗弁により負けてしまいます。

そのため、催告をした事実は後の裁判に備えてしっかり証明できるようにしておく必要があります。受任通知を発送した日や、電話のやり取りをした担当者等をしっかり控えておけばそれも証拠になるでしょうが、やはり催告の事実について一番証明力が高いのは内容証明です。

備えあれば憂いなしで確実に過払い金を回収しましょう!

自己破産の債権者一覧表と非免責債権

おはようございます。最近大阪は暖かい日が続いています。まだ気が早いかもですが、そろそろ春が楽しみな時期になってきましたね。

自己破産で免責決定を受けても未払いの養育費の支払い義務が免除されないというのは破産法253条1項4号ハ(二という解釈も取れそうですが)の定めるところです。

申告しても免責されないのならば、未払いの養育費債権を債権者名簿に載せる必要がないのでは?とも思えます。

しかし、この点は他の破産債権と同様に、お子さんも債権者の一人として申告する必要があります。

なぜなら、免責の審理の前にこれと別個の制度である破産開始の審理が先行して行われます。そして同審理では、債務者が支払不能に至っているかが主な審理の対象となります。

支払不能に至っているかは、債務者の収入や資産など様々な事情を考慮しますが、現在の総負債額がいくらであるかもその判断にあたって重要なファクターとなります。

そのため非免責となる事があらかじめわかっている債権であっても支払不能の認定資料に必要なので裁判所に申告する必要があるのです。また負債が多いという事情は支払不能を認定しやすい方向に働くので自己破産を申請する方にとってはメリットともいえます。

債権者名簿に載せる債権者は一般的に金融業者が多いので養育費は忘れがちになりやすく注意が必要です。

この他にも忘れやすい債権として、以前のブログ「破産手続きにおける保証債務と債権者名簿」でもご紹介した保証債権があります。ご自身で毎月払っているわけではないのでついつい忘れがちになってしまいますが、保証債権も債権である事にはかわりないのでしっかり申告する必要があります。

こちらは養育費と異なり非免責債権ではないので、申告すれば免責の対象となり保証人としての義務もなくなります。