破産手続きにおける保証債務と債権者名簿

おはようございます。昨日は、司法書士会で成年後見の研修でした。朝から夜までの長丁場の研修なので、帰りはくたくたになりました。来週の土日も丸一日研修なのでしっかり睡眠をとってベストな状態にしとかないとです。

先週は自己破産の申請にあたって保証債務を除外できるかという相談が続けてありました。

確かに保証債務を債権者名簿に載せると借主に迷惑をかける事もあるので、以前からこのような要望はよくあり、非常に苦慮するところです。

しかし、残念ながら破産法上は一部の債権者を除外するという事はできない事になっています。

まず、保証人の債権者も破産手続きに参加する事が認められています(破産法「以下、法令名省略します」105条)。にも関わらず、破産者が保証債権がある事を知りながら債権者名簿に載せなかった場合、当該保証債権は免責されません(253条1項6号)。

その後に借主の方がギブアップしてしまった場合、せっかく破産手続きをしたにも関わらず、保証人の方に一括請求がいくので、この事が原因でまた借金が増えてしまう可能性があります。

また、そもそも252条1項7号は虚偽の債権者名簿を提出する事を免責不許可事由としています。そのため一部の債権者を除外して破産手続きを申請すると、当該債権だけでなくすべての借金が免除されないという可能性もあります。

確かに保証人が破産すると、借主は代わりの担保を立てることが要求されています(民法450条2項)。そして担保を立てることができない場合、期限の利益を喪失してしまいます(同137条3号)

しかし上記のようなリスクを抱えてまで保証債務を除外するというのはやはりやめておいた方がいいと思います。そのため、保証人としては、自己破産を申請するとなった場合、保証債務も手続きの対象になることを早期に借主の方に報告して対応策を練ってもらうのが賢明でしょう。