こんにちは。今日の大阪は天気もいいし、あったかいです。
借金の時効と内容証明の続きですが、時効援用をする際の注意点として、時効中断事由の有無をチェックする必要があります。
原則として、時効期間が経過すれば、債務者は時効を援用できます。しかし途中で時効の中断があれば、時効の期間を計算する始点となる起算日は振出しに戻ってしまいます。
時効の中断の代表例は債権者が債務者に債権の請求をする事であり、訴訟を起こしたような場合です。
なぜ時効の中断という制度がもうけられているかですが、これは時効制度の趣旨からきています。
本来、債権(たとえば貸金)が時の経過で消滅するというのもおかしな話です。お金を貸して、それが返済されていないという事実に変わりはないのですから。
しかし、長い間権利が行使されていないならば、当該権利者は権利を主張する意識が弱いのであり、そのような権利者を法によって、保護する必要はないのではないかという価値判断があります(これを法ことわざで、「権利の上に眠る者は保護に値しない」なんて言い方をします)
また、権利が長期間行使されていなければ、そのような永続した事実状態は尊重されるべきですし、長い期間が経過していると、債務者の方の証拠も散逸している事が多く、たとえば返済したという事実も証明できない不利益がでてきます。
そういった様々な問題を払しょくするために、一定期間が経過した権利については消滅させようというのが時効制度の趣旨です。
しかし、債権者が訴訟を起こしていれば、もはや権利の上に眠る者とはいえません。権利主張を明確にしているので、永続した事実状態も破られますし、証拠も保存する意識が働くので、散逸が妨げられるでしょう。
そのため、かかる訴訟を起こされた場合、時効を中断させる事情としたのです。
実務的にも、時効を主張する相談者の方について、まず5年の期間経過前に訴訟等を起こしていないか、依頼者や業者に確認します。
これを怠り、安易に時の経過により、時効が完成したということで内容証明を送り、事件を簡潔させてしまうと、あとでかなりのリスクを伴うことになります。
もし中断事由があって時効が完成していなかったとすると、さらに数年後に債権者から請求された場合、当初の債権額だけでなく、事件完了後の数年間の遅延損害金もオンされて請求される可能性があるからです。
そのため、時効中断事由の有無はしっかり確認する必要があります。
業者も質問すればおおむね時効中断事由の有無を教えてくれます。わざわざ勝訴判決文のコピーを事務所まで送ってくれたりもします。
時効中断事由の典型例は訴訟以外にも支払督促があります。ただし、支払督促の場合は、期間内に仮執行の宣言も付してもらっている必要があります。
この他にも重要な時効中断事由として、「承認」がありますが、これはまた別の機会にでも、実務的な問題点についてブログを書きたいと思います。
時効は、次に掲げる事由によって中断する。