数次相続の遺産分割協議書

こんにちは。いよいよGWに突入しましたね。と言っても特にでかける用事もなく、普段なかなかできないホームページの工事(文章の追加とか)をこの機会にまとめてやろうと思っています。またリニュアールしたらこのブログでもご紹介しますね。

さて、この前は相続登記で補正になってしましまた。

理由は数次相続における遺産分割協議書の書き方です。

多少かえていますが、相続関係は父がA、母がB、その二人の間の子供がC、D、Eです。そしてDにはF、Gの子供がいてEにはH、Iの子供がいます(Cは配偶者や子供がいません)

F、G、H、IはそのためABからみて孫にあたります。

中間のCDEはすべて亡くなっていたので、2次相続としてFが不動産を相続することになりました。

そして、この時の遺産分割協議書に「Fが下記不動産を取得する」としたのですが、登記官いわく、まず一次相続として誰が不動産を相続したかを遺産分割協議書に書いてくださいとのことでした。

僕はFが相続したという事は、その親であるDが1次相続したとしか考えられないので、前提としてDがまず不動産を取得した旨の記載がなくても遺産分割協議書とし有効ではないですか?と言ったところ

登記官「いや、確かに数次相続の場合、最終の不動産取得者が誰かだけを書いても問題ない事例もあるが、本件の場合は1次相続で不動産を取得する可能性がある者としてCも考えられるので、同相続の遺産分割結果も記載しないとだめです」と突っ込まれてしまいました。

えっそうなの?と思ってもう一度よく考えてみると確かにCは子供と配偶者がいないため、Cが亡くなった場合の相続人は兄弟のDEになります。そして本件ではCよりDが先に亡くなっていたので、Dの子供であるFが代襲相続人としてCの相続人になります。

そうするとFは自分の親であるDだけでなく、おじであるCからも相続を受けうる立場にあるので、中間相続人はその両者のうちどちらかであったかを遺産分割協議書上明確にする必要があるとのことでした。

うーんなるほど盲点でした。今回学んだ事は、数次相続の場合どんなケースでも1次相続として不動産を取得するのは誰かを書いておけば確実だということです。中間者が一人しか考えられない場合でも書いといて間違いではないですからね。

結局補正のため、他府県の法務局にダッシュでいくはめに。登記は本当に奥が深いです。

それでは皆様よいゴールデンウイークをお過ごしください!

受任通知と内容証明

こんにちは大阪京橋の司法書士小林一行です。

最近は阪神が調子いいですね。僕はものすごい虎キチというわけではないですが、やはり地元のチームが活躍するのはうれしいです。このまま優勝まで突っ走ってほしいですね^^

僕は債務整理の受任通知は普通郵便で出します。本来は重要書類なので書留や内容証明で出すのが理想だとは思いますが、書留等はコストがかかるので経費削減のためです。

しかし、ちょっと前に内容証明で受任通知を出した事案がありました。

それは、一回完済して再借入れしている業者の場合です。

旧取引きと新取引の間の空白期間が長い場合、取引が分断され、別取引とみなされる可能性があります。しかも分断されるという事は、旧取引きの完済日から10年以上が経過した場合、旧取引きの過払い分は時効にかかってしまうというリスクが生じます。

そのため、最初に完済したのが10年くらい前でかつ取引分断の可能性がある場合は、念のため旧取引きの過払い分について時効中断措置を取っておく必要があります。

その方法として受任通知が民法153条の催告になりえます。

単なる債務整理の通知では催告とは言い難いですが、過払いが発生することを条件に過払い請求をする意思を文面上明確にしていれば催告になるとするのが裁判例のようです。

しかしせっかく催告をしたのに後でその事実を裁判で証明できなければ、暫定的な時効中断が生じていないのでやはり時効の抗弁により負けてしまいます。

そのため、催告をした事実は後の裁判に備えてしっかり証明できるようにしておく必要があります。受任通知を発送した日や、電話のやり取りをした担当者等をしっかり控えておけばそれも証拠になるでしょうが、やはり催告の事実について一番証明力が高いのは内容証明です。

備えあれば憂いなしで確実に過払い金を回収しましょう!

過払いの請求は家族に秘密にできるか。

こんにちは、大阪京橋の司法書士小林一行です。

最近、ご家族に内緒で業者に過払いの請求をしたいとのご依頼がありました。

この点については、極力ばれないようにするものの、絶対に秘密を保証することはできない事を依頼者の皆さまに事前にご了解いただいた上で手続きを進めるようにしています。

なぜなら、過払い訴訟を起こした場合、逆に原告相手に調停を起こしてくるような業者があり(アイフルとか)そのような場合ご自宅の住所に調停申立書が届いたりするケースがあるからです(もちろんこのような半ば嫌がらせをしてくる業者に対しては慰謝料の請求も含めて毅然とした対応をする必要がありますが)

それともうひとつ業者が第一審で敗訴した後に控訴した場合も問題が生じえます。民事訴訟法289条は控訴状は、「被控訴人」に送達しなければならないとしているところ、同103条は送達場所について送達を受けるべきものの住所等としているため、控訴条が原告の住所に届く可能性があるからです。

この点、裁判所によっては申請すれば第一審の代理人の事務所へ控訴状を送達するという運用をしてくれる事もあるようです。

しかし、これは事実上そのように運用しているというだけであって、被控訴人にとって送達方法の選択権を法的な権利として認めているわけではありません(同104条1項により住所と異なる送達場所を裁判所に届ける事ができますが、控訴審が係属する前でもこのような届出が認められてるわけではないように思います)。

この点は、被控訴人に送達方法を選択させる権利(たとえば裁判所に控訴状を取りに行くとか)を認めるように法改正をしていただきたいところです。

そもそも、これだけ個人情報の取り扱いが声高にさけばれている中、重要なプライバシーを含む裁判書類について自宅に届ける事を原則とする民事訴訟法の規定はいかがなものでしょうか。

確かに、同条の規定は、控訴状をしっかり被控訴人に送達する事で、同人に控訴審を争わせる機会を保証するものであり、その立法趣旨はわかります。

しかし、わざわざ自宅に送らなくても被控訴人が裁判所に控訴状を取りにいくという方法でもいいはずです。運転免許証等の身分証明書を提示した形での受け取りにすれば裁判所が第三者に控訴状を渡してしまうというリスクも発生しません。

裁判所としても、控訴状を郵送する手間が省けるという合理性もあります。

確かに第一審の訴状の場合は裁判所が被告の連絡先として住所しか把握していない場合もあり、そのような場合は訴状を郵送するよりほかないでしょう。

しかし控訴の場合は別論です。

なぜなら前提として第一審が行われているからです。その場で原告や被告、その代理人といくらでも控訴後の連絡手段を打ち合わせてしておく事はできるはずです。

そのため、下記のような条項を送達の条項に盛り込む事が検討されていいのではないでしょうか。

「裁判所は被控訴人に対して、控訴状の送達をする場合、第一審において当事者から携帯電話等による通信機器による連絡を希望する旨の申告がある場合、同連絡先にその送達方法についての確認の連絡をしなければならない。ただし同連絡先へ連絡をしたにも関わらず被控訴人が3日以内になんらの回答もしない場合は、同人の住所へ控訴状を送達することができるものとする。」

上記のような改正がされれば、まずは裁判所は被控訴人の携帯へ連絡する義務が生じますし、もし同人が裁判所からの電話を無視すれば、そのときはじめて控訴状を自宅へ送ることで訴訟の遅滞も防ぐ事ができます。

このような形で控訴状の受取方法について被控訴人に選択権を認めるのが個人情報保護法やプライバシーの理念に合致します。

そもそも裁判を受ける権利は憲法32条で認められているものです。このような憲法上の権利が、ご家族に知られる事を回避するため、事実上制限を受けるというのはよろしくないのではないでしょうか。

徹底的な個人情報保護で、国民が裁判に不安を持たずに権利行使できるようになることが望まれます。

名古屋の中村公園に行ってきました。

こんにちは。大阪京橋の司法書士小林一行です。今週の木曜日は出張で名古屋の中村区に行きました。そして、帰りに時間ができたので中村公園を散歩しました。天下人、豊臣秀吉の生まれた地です。

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中村公園内にある豊国神社で、豊臣秀吉公をご御祭神としています。

IMG_0306 中村公園内にある「中村公園文化プラザ」です。豊臣秀吉と同じくこの地で生まれ育ったとされる加藤清正と秀吉の記念館です。

IMG_0311 記念館では写真撮影禁止のところが多いのですが、こちらの記念館では撮影は申し出れば許可してくれます。写真は15世紀前半にヨーロッパで発明された火縄銃です。諸説あるようですが、日本では種子島に伝来されたのが最初とされています。

IMG_0313IMG_0314 豊臣秀吉の代名詞でもある太閤検地と刀狩です。それまで地域ごとにバラバラだった土地を管理しやすくするため統一的な基準を用いるようになりました。そして管理者を定めて農民を土地にしばりつけたのです。また刀狩により、農民は時の権力者に抵抗する武力を失いました。

かつて名もない一農民から一国の頂点にまで上りつめた秀吉。その秀吉だからこそ農民が持っている強さ、その怖さを一番よく知っていたんでしょうね。

IMG_0315 夜は栄の焼き鳥屋まるいちさんにお邪魔させていただきました。写真はハツです。ごま油とネギとの相性がバツグンでした。

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焼き鳥とビール。これ以上に最強の組み合わせはおそらくないでしょう。

IMG_0318締めは、ねこまんまです。かつおぶしと醤油、マヨネーズがほどよくからみあってとてもおいしかったです。

名古屋に行った際はぜひともまた行きたいお店です。以上、名古屋出張報告レポでした!

氏名と本籍での登記

IMG_0299こんにちは。大阪京橋の司法書士小林一行です。

今日は、完了した登記の書類を取りに大阪法務局北出張所に行ってきました。

朝からかなりあったかモードだったので散歩がてら京橋から歩いていったのですが、 さすがにちょっと遠かったですね。

写真は大阪市中央公会堂前です。いよいよ桜も終わりですね。

今、相続登記のご依頼をいただいて手続きを進めているのですが、同登記には亡くなられた被相続人の方の、最後の住所について住民票の除票等の証明書をつける必要があります。

そして、被相続人が登記されている不動産の名義人と同一である事を証明するため、登記されている住所と最後の住所地が異なる場合は、その住所の移転過程を追っていって登記上の住所と被相続人の最後の住所がつながっていることを証明する必要があります。

今回は戸籍の附表とかを取って被相続人の方の住所を追っていったのですが、どうやっても両住所がつながらないという問題にぶちあたりました。

さっそくいつものごとくネットで検索しまくって調べた結果。

なんと戦後まもなく不動産の名義人になられた方は、氏名+住所のかわりに氏名+本籍で登記されていた時代があったんですね。

これで謎が解けました。僕は被相続人の方が不動産を購入された際の本籍と亡くなられた際の住所を一生懸命つなげようとしていたのです。そりゃつながらないわけです。

相続人の方にも確認したところ、住所や本籍の移転過程も住民票や戸籍と一致してほっと一安心です。

それにしても、受験時代は登記される名義人は当然に氏名+住所で登記されるものと頭から決め込んで覚えていたので、本籍で登記されていた時代があったというのは衝撃でした。なんでも思い込みでこうのはずと決め込むのはよくないですね。

時代がかわれば制度もかわっていくものですね。とても勉強になった一日でした。