今年も1年ありがとうございました。

今日は大晦日ですね。

今年もたくさんの方の助力をいただき、無事終える事ができました。お世話になった友人、スタッフ、取引先、依頼者の皆様本当にありがとうございます。

今年は、今までの債務整理に加えて、生活保護のご相談を多くいただく年となりました。借金による支出は、債務整理により抑える事ができます。しかし様々なご事情で収入を得られない場合は、債務の整理だけではなく、生活保護等の国の援助を受ける事で、収入を確保することができ、健康で文化的な生活(憲法25条)が保障されます。

来年も今まで通り初志貫徹で、病気や就職難、借金、母子問題等でお困りの方の生活再建に尽力できればと思っております。

新年は1月4日より、業務再開予定です。

それでは、皆様よいお年をお過ごしくださいませ。来年度もよろしくお願い申し上げます。

司法書士 小林一行

生活保護と保険金

こんにちは。自宅から事務所まで30分くらいを歩いて通勤しているのですが、去年の冬から耳あてを重宝しています。寒いところに長い間いるときのキーンとする耳の痛さもなくなりとても快適ですよ。

ところで最近ご相談の多い生活保護ですが、申請をする場合は通帳を持っていきます。預貯金等の財産があると生活保護が認められないからです(ただし5万円程度は当面の生活費として保有していても問題ありません)。

このとき一部の通帳を隠して申請しても役所は銀行に照会しますので、生活保護は認められません。

ただ、本人の管理していなかった通帳となると別です。

以前私が同行させていただいた事案ですが、本人の全く管理していなかった通帳に多額の保険金が入っていたという事が役所の調べで判明しまして、生活保護の申請が却下されたという事がありました。

しかし、この保険は母親が個人的に本人の名義を借りて掛けていたものであり、実質的には母親の資産です。

反論の機会を与えずに却下をした役所の対応も問題がありますが、すぐに生活保護の再申請をしたところ、そういった事情があるのならという事で生活保護の受給が認められました。

生活保護の安易な却下は、最低限度の生活を保護する権利侵害で生き死ににかかわりますので、役所の方には慎重な審査の方をお願いしたいと思います。

訴訟引き伸ばし戦略

こんにちは、今回のクールで毎月楽しみにしているドラマが阿部寛さん主演の下町ロケットです。

大企業に立ち向かう中小企業の社長さんのストーリーですが、毎回見ててスカッとします。

第2話でナカシマ工業が、主人公の会社の資金繰りが厳しいことに目を付けて訴訟を引き延ばすというシーンがあります。卑劣なやり方ですね。実際は判決がでれば負けます。しかし主人公の会社が裁判を続ける体力がないので、和解とかに持ち込むことで事実上勝ててしまうわけです。

私が担当する過払いの訴訟でも、業者がこの訴訟引き伸ばし戦略を結構使ってきます。

一番多いのは、移送の申立てです。原告の住んでいる大阪の裁判所へ訴訟を起こすのですが(交通費が安くすみます)、例えば本店のある神奈川に移送してくれとかいう申立てをしてきます。全国に支店がある大企業ですので、大阪で裁判を行っても、大阪支店の社員を出頭させればいいのでなんの不利益もないはずですが。

もちろん裁判所も業者の移送の申立てを認めません。

それでも、懲りずに移送申立てをしてくるのは、審理のために数か月、口頭弁論が開かれるのが遅くなるからです。

過払い訴訟を起こす方は、多重の債務を負っている方が多いので早く過払い金を返金してもらいたい。その弱みにつけこんでこのような訴訟引き伸ばし戦略を行うわけです。

依頼者の方がどうしても早くお金を返してもらいたいといった事情がある場合、このような和解にも応じざるえない場合があります。しかし、ほとんどの依頼者の方は時間をかければ勝てる裁判であることを説明すれば、和解せずに裁判を続行する事を選択してくださいます。

他にもあの手この手で業者は裁判を引き延ばすのですが、そのやり方はまた日を改めてご紹介したいと思います。

時効の援用までの業者とのやり取り

こんにちは。今日から一気に気温が下がりましたね。暑いくらいの日が続いていたので、ちょうどいいとも言えるのですが、いよいよ冬の到来を感じさせる一日でした。

前回の続きですが、時効になっていれば内容証明をだします。もっとも、業者から来た明細だけを見ても時効になっているかわからないケースがあります。

単純に最後の返済から5年経っているかは明細を見ればわかりますが、裁判等をおこして時効の進行が中断している場合もあるからです。

この点、業者によっては、事件番号とかで特定して勝訴判決とかを取ってる事を丁寧に明細に書いてくれている場合もあります。

そのような場合はいいのですが、書いてない場合は、業者に電話して時効中断事由があるか聞く必要があります。
そうすると、時効中断事由のある業者は勝訴判決文のコピーなんかを送ってくれたりします。
その場合は当該業者に時効の主張をする事は諦めるしかありません。

ところで、時効中断事由の有無を電話で聞くと、業者の中には時効援用の内容証明を送ってくれないと、時効中断事由があるか回答できないとかわけのわからない事を言ってくる場合があります。

いやいや、時効になってるかどうかわからないので、内容証明だすかどうかの判断ができないから電話で先に聞いてるんじゃないの?と思うのですが。。

業者の言い分としては、実際に起こした訴訟等が時効中断事由にあたるか否かは、法的判断を要することなので、内容証明の到着を待って回答するという事のようです。

しかし私が聞きたいのはその訴訟とかが、時効進行の中断にあたるかどうかという事ではなくて、実際に訴訟を起こして勝訴判決を取ったり、その他の債務名義を取得していたのかという過去の事実を聞いているだけです。

それは取引に類する事実で当然回答するべきでしょうと。その回答いかんで今後の債務整理の方針が決まるわけですから。

この業者の場合、電話でしつこく粘ったところ、結局時効中断事由はないという事で内容証明を出すことにおさまりました。

実際はこのような回答拒否をしてくる業者はきわめてまれで、ほとんどの業者が書面できっちり時効中断事由の有無を回答してくれます。

時効か、自己破産か。

最近ご相談が多いのが、時効問題です。

複数の業者から、借り入れをしている場合、全業者が時効になっていればいいのですが(一般的には最後の取引から5年経過で時効)、一社でも時効が中断されている業者があれば、問題が生じます。

中断の典型例は訴訟を起こされていた場合です。この場合、判決からさらに10年間は時効にかからない事となりやっかいです。

時効が中断していれば、長年支払をしていなかったため、遅延損害金の額もかなり膨れ上がっており(数百万単位)、かつ業者も勝訴判決をとってるので強気です。分割和解に応じないこともよくあります。

そうすると、1社以外は全て時効にかかっている場合でも、家計の状態次第では、時効にかかっていない1社のために自己破産へと方針変更しなければならないケースがあります。

 そういう問題がありますので、当事務所でも長年支払を放置していたような案件では、受任時に債務整理の方針を決定しません。

 受任から23ヶ月後くらいには業者の現在の債権額、時効中断の有無、分割和解に応じるか、その回数等の情報がわかりますので、それをもとに再度打ち合わせをさせていただきます。

その上で全ての業者が時効にかかっていたので、時効援用でいくか、あるいは中断している業者があるので、自己破産や個人再生でいくか等を考える事になります。

 一番いいのは依頼者の方の費用負担が少ない時効援用です。内容証明を各業者にだすだけですから。

 しかし1社だけは、しっかり裁判を起こしていて時効が中断しており、そのために自己破産を余儀なくされる場合も多いです。