サイン証明と相続放棄

こんばんは。今日は朝方はえらく寒かったのですが、昼から急にあったかくなって過ごしやすい一日でしたね。

今ご相談いただいている相続登記の案件なのですが、相続人の方に外国でお住まいの方がいらっしゃいます。その国では印鑑登録制度がないので遺産分割協議書に押印したハンコの印鑑証明書を添付する事ができません。

こういった場合の制度として、現地の領事館に行っていただき遺産分割協議書のサインが確かにその人のものであることの証明書を発行してもらうという方法があります。

しかし、領事館で手続きする手間もありますので、時間がない等で行けない場合は代替案を考える必要がでてきます。

この点、外国にお住まいの方が被相続人の配偶者とかで、子供にすべて財産を残すために相続放棄をしてもいいといった事情がある場合はサイン証明の手間を省けます。

なぜなら相続放棄は家庭裁判所に対する申立てですが、これは認め印でもかまわないので外国にお住まいの方も相続放棄の申請書にサイン証明を添付する必要がないからです。

相続放棄が正当に認められれば、当該相続人は始めから相続人でなかったものとみなされます。そのため遺産分割協議にも参加する必要がありません。という事は協議書の作成段階で印鑑証明書に代替するサイン証明書の添付は不要となります。

ただし相続放棄は相続人としての立場がすべてなくなるのでその点をよく認識したうえで行う必要があります。また期間制限にも注意が必要です。例外はあるものの相続の開始を知ってから3か月以内と非常に短いです。

相続の際はいろんな制度があるので、どの手続きでいくか後で後悔のないように充分吟味されることが特に重要ですね。

固定資産評価額が0円?

おはようございます。昨日の朝起きたくらいからノドに違和感があるなーと思っていたら、今日になって一気にノドが痛くなってました。

とりあえず鼻炎の薬飲んでごまかしています。まわりでもカゼ引いている人が多いので、皆様も気を付けてくださいね。

ところで相続登記の依頼を受けたのですが、登録免許税を計算するため、固定資産評価証明書を見たところなんと評価額が0円でした。

むむーなんじゃこりゃと思って調べてみたところ、地目が保安林だと固定資産税は非課税になるそうです(地方税法348条第2項7号)。

じゃー登録免許税も非課税かと思いきや、そうじゃないんですね。登録免許税法は、資産として不動産を所有していることではなく、登記を受けたという点に着目して担税力を見出しています。

そのため、当該不動産の所有権移転登記をする以上、その不動産の通常の価値に基づいて課税されます。

どうやって計算するのか法務局に確認したところ、登記簿上の地目(本件では、雑種地です)について近傍(近辺のことです)の雑種地の平米単価をだしてもらい、それを固定資産評価証明書の備考欄に記載してもらいます。

あとはその単価に平米数をかけて登録免許税計算の基礎となる固定資産評価額を出してもらうという流れです。

同じ不動産でも税金の種類によって価値が生まれたりなくなったりして面白いですね。税法の勉強ができた一日でした。

委任状の日付ってちょっと悩みます。

IMG_0109こんにちは。さきほど城東区役所から歩いて帰ってきたのですが、今日はやや昨日よりあったかいですね。ちょっとポカポカしてました。

僕が所属している日本司法書士連合会から毎月、月報が届くのですが、その中に「委任状の日付と原因日」という興味深い記事が載っていました。

僕は不動産の売買で登記を頼まれた場合、依頼されたのが売買契約の前であったとしても委任状の日付は、売買より後の日(または同じ日)にしています。

登記はあくまで売買のような法律行為について、対抗要件を備えるためのものであり、順番としては売買→登記です。

そのため、売買による所有権移転等登記を依頼された以上、理論的には登記手続きの委任の前に売買が先行している必要があると考えたからです。

しかし、今回の月報を読むと売買の日付より前の委任状でもいいみたいです(月報 司法書士 2013.11 No501 53ページ)

ただし、商業登記はまだ法務局の明確な回答がないようなので、法務局での取り扱いも統一されていないようであり注意が必要です。

役所の書類は委任状以外でも各種書類の日付の前後に神経を使うことが多いです(^^ゞ

たとえば、定款で出資額を確定してから払込をするわけですから、定款作成日より前の振り込みを証明する通帳では日付の前後が矛盾しているとか、財産分与は民法上、離婚している事が要件なので、離婚届を提出した日より前を原因日付とする財産分与はできない等です。

日付の矛盾で登記が遅れて、お客様にご迷惑をかけることがないよう、常日頃法律の勉強はかかせませんね。