商業登記規則の一部改正

こんにちは、大阪京橋の司法書士小林一行です。今日で2月も終わりですね。ついこの前大晦日で紅白を見ていたような気がするので、月日がたつのは本当に早いです。

商業登記規則の一部改正が施行されました。

主な改正点は以下のとおりです。

1、株式会社の設立の登記又は役員(取締役,監査役等)の就任(再任を除く)の登記を申請するときには,本人確認証明書の添付が必要となります。

→本人確認証明書としては、住民票の他、運転免許証のコピーでもかまいません。なお運転免許証のコピーは表裏ともに提出する必要があります。

2、代表取締役等(印鑑提出者)の辞任の登記を申請するときには,辞任届に,当該代表取締役の実印の押印(市区町村長作成の印鑑証明書添付)又は登記所届出印の押印が必要となります。

3、役員(取締役,監査役,執行役,会計参与又は会計監査人をいいます。)又は清算人の就任等の登記の申請をするときには,婚姻により氏を改めた役員又は清算人(その申請により登記簿に氏名が記録される方に限ります。)について,その婚姻前の氏をも記録するよう申し出ることができるようになります。

全体的に厳格な運用がされるようになりました。昔は会社の設立には取締役が3人と監査役が必要でしたので、架空の人物を勝手に取締役に仕立て上げるといったことがあったのかもしれません。

今は、一人からでも会社を作れるようになりましたので、昔ほど大きい問題ではないと思いますが、それでも架空の人物を取締役として登記すると取引の安全が害されますからね。妥当な改正だと思います。

どうせならば、本人確認書類だけでなく実印で就任届けに押印させて印鑑証明書も添付する形にすればいいと思うのですが、そこまで厳格な運用にはしなかったようです。

ただし2、の代表取締役の辞任の登記には会社か個人の実印で辞任届に押印する必要があります。これも当然といえば当然の改正ですよね。社長の知らない間に勝手に会社から締め出されるのはどうかと思いますし。

本人の意思をしっかり確認する事が無用な争いを未然に防ぐ事となり、ひいては会社や取引先の利益に資する事になると思います。

規則改正の施行日は平成27年2月27日となっています。

倉敷美観地区

こんにちは、大阪京橋の司法書士小林一行です。

出張で岡山に行った際に倉敷、高松、高知とプチ旅行してきました。

まずは倉敷の美観地区へ。江戸時代にタイムスリップしたような幻想的な街並みで、しばし時の流れを忘れてしまいそうでした。

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倉敷川を挟んで古風な民家が並んでいます。

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大原美術館です。日本で最初(1930年設立)の西洋美術館だそうで、創始者の大原孫三郎氏の先見の明には驚かされます。外観の雰囲気は一転してギリシャ神殿のような佇まいです。

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小腹がすいたので、美観地区内にあるカフェ三宅商店さんにお邪魔させていただく事にしました。1階が混んでたので、1人なのに2階のお座敷へ通していただきました。古風な美観地区の雰囲気をそのまま残した趣きある部屋でとてもラッキーでした。

お食事はカレー一品のみです。体に優しい玄米と野菜がのっており、とてもヘルシーでおいしかったです。大体旅行のときは野菜不足となるので、ありがたかったです。ランチにはデザートもつけることができます。

土日の2日間で高知まで行って大阪に帰る必要があるため、超特急で移動していく必要があります。まだ見たいところがたくさんあったのですが、名残惜しくも美観地区をあとにして、高松へ向かうことにしました。

高松うどん旅行は、また別の機会にご報告させていただきます。

フクホーの訴訟提起

こんにちは、大阪京橋の司法書士小林一行です。

最近依頼者の方でフクホーから借りられている方が何人かいらっしゃるのですが、同社はすぐに訴訟を起こしてくるので注意が必要です。

通常、債務整理の受任通知を送れば、業者も顧客の破産等を覚悟するので、訴訟を断念するケースが多いのですが、フクホーの場合は関係ありません。この前も司法書士の受任の通知から2週間くらいで訴訟を起こしてきました。

当事務所としては、フクホーに限らず、業者から訴訟を起こされた場合、破産の申し立てを急ぐ対応をとっております。破産法44条1項により、破産手続き開始決定が下りれば、訴訟は中断するからです。

もっとも、破産の申立てには債権の調査表や家計簿を提出しなければならない関係上、どうしても時間がかかります。

そのため、訴訟に対して答弁書で請求棄却を求め、時間稼ぎをすることになります。そうすれば弁論は終結せず、裁判所が次回の期日を指定してくれます。

これにより、訴訟の終了を数か月先に延ばす事ができますので、その間に自己破産の開始決定をもらい、スピード勝負で勝てる場合がほとんどです。

フクホー以外でも、楽天やモビットなど訴訟をよく起こす業者はあるのですが、特にフクホーは訴訟までの着手が速いので支払を遅れている方はご注意ください。

たまたま何件かだけ、訴訟を起こしただけかなと思っていたのですが、どの事件でもフクホーは訴訟を起こしているんだなと思った事がありました。

それは大阪簡易裁判所の書記官室に行った時のことです。別案件での準備書面を直接持って行ったのですが、待ち時間の間に書記官室のボックス棚を何気に見てみると、「フクホー」とテプラが貼ってありました。おそらく同社の事件が多いので、裁判所でもまとめて管理しているのでしょう。

訴訟を起こす事自体は、法的な権利ですので仕方ないですが、放置しておくと勤務先の給料が差し押さえられるリスク(勤務先に借金してたことを知られてしまう)があります。そのため、なんとしても破産手続き開始決定を先にとって業者とのスピード勝負に勝たなければいけません。

大阪地裁の管財事件の予納金

こんにちは、大阪京橋の司法書士小林一行です。

偶然というのはあるもので、管財事件の打合せが連続となり、2日続けて各管財人の事務所に訪問してきました。

消費者破産の場合は、めぼしい資産がない事が多いので、ほとんどが同時廃止となります。

もっとも財産があったり、特に免責不許可事由の有無等をチェックする必要がある場合は管財事件となり破産手続きは廃止されません。

管財事件となった場合、予納金を収めなければならないのですが、これが大阪地裁では、弁護士が代理人となっている場合は最低20万5千円、司法書士の書類作成による本人申立ての場合は50万円という運用になっているようです。

今回の管財事件のうち1件は、財産がないので、調査型の管財事件となり、最低予納金額として、上記のように50万円の予納金支払を命じられました。

しかし、そもそも代理人による申請か否かで倍以上の予納金額の差を設ける合理性はありません。申立て書類はすべての資産、債権者との取引内容等を表なども多用して細かくまとめ完璧なものに仕上げたこと、本人がかなり生活が厳しいので予納金の捻出が難しいこと、資産もめぼしいものはなにもない事などを大阪地方裁判所の破産係に上申し、粘り強く交渉した結果、予納金を20万5千円に変更してもらいました。

本当に生活が厳しい方だったので、大阪地裁の柔軟な対応には感謝しております。その後半年くらいの分割でようやく予納金を完済することができ、今回の申立てに至ったというわけです。

そのような長い時間をかけての手続きだったので僕にとっても思い入れが強い事件です。無事破産手続きが終わり、免責が許可されるよう、これからも気を引き締めて依頼者の方をサポートしていかなければです。

民法の改正

こんにちは、大阪京橋の司法書士小林一行です。

昨日夜のNHKニュースを見てると、民法改正がテーマにあげられていました。

以前から民法の改正というのは、業界で話題になっていたのですが、NHKでニュースになるという事はいよいよ改正も現実味をおびてきたなという感じがします。

改正内容で僕が個人的に気になったのは、法定金利が年利5%から3%に変更されるというものです。

低金利下時代に5%は取りすぎじゃないかという事らしいですが、不当利得を助長する事にならないか若干心配です。

というのも業者に過払いの請求をすると、大体減額の提案をしてくるのですが、それを断ると、裁判になったら長期化してなかなか過払い戻ってきませんよと反論してきます。

そんな時は決まって僕は以下のように再反論します。

「ご本人さんは、過払いの元金だけでなく、返金までの利息もすべてつけてもらう事を希望しています。この低金利の世の中、銀行に預けていても利息なんて二束三文ですよ。それならば裁判中御社に過払い金を預かってもらっておけば年利5%の運用利息がつくので、銀行に預けるよりよっぽどいいと思います。裁判を長引かせれば長引かすほど、御社の負担はどんどん大きくなっていきますよ。」

これが3%になると業者の負担がその分減ってしまいますから、過払いをなかなか返さない方向になるかもしれません。

それともうひとつ気になったのが、時効が一律5年になるというもの。過払いのご相談に来られる方は完済から結構期間がたっていることも多く、現行の10年を経過しているというケースもよくあります。

それが、5年になると、さらに過払い請求が封鎖される事になり、不当に業者を利得させることになるのではないかと思います。少なくともこのような消費者被害の事例においては時効の特例を認めるといった処置も検討されるべきではないでしょうか。

消費者は、強者である企業と対等な立場でなかなか契約できません。そのような社会的実情をふまえた改正内容にしてもらいたいと思います。