こんにちは。今日から大阪は一気に寒くなりましたね。
明日からお仕事が始まる方も多いと思いますが、寒さに負けずに今年も張り切っていきましょう!
正月は司法書士会の研修ビデオをせっせと観ていたのですが、その中で遺産分割の研修ビデオが大変勉強になりました。
相続が生じた場合、預金債権等の金銭債権は法定相続分に応じて当然に分割されるため遺産分割の対象にはならないとするのが判例です。
もっとも相続人全員の同意があれば、他の不動産等の遺産と同様に遺産分割の対象にすることができます。全員の同意があるのにこれを認めない理由もないですし、預金債権なんかは流動性が高くて融通性があるので、不動産とかの分割の調整には適していますからね。
しかし、講師の弁護士さんによると、預金債権を遺産分割の対象にするのは注意を要する点があるとのことです。
それは一部の相続人に受益分がある場合です。例えば長男が亡くなられたお母さんから生前に不動産の贈与を受けているような場合です。この場合、受益分を遺産に持ち戻した上で、各相続人の相続分を計算し直すので、長男は場合によっては相続分がなくなるというケースがあります。
この場合でも、預金債権は相続により当然分割となるので、受益分の影響は受けずに、長男は法定相続分に応じた当該預金債権を取得する事ができます。
例えばお母さんが亡くなって(お父さんはお母さんより前に亡くなられています)子供が4人というケースで、母の遺産は預金債権2000万円 その他の遺産2000万円とします。
お母さんは生前に長男に2000万円の不動産を贈与していました。
この場合、預金債権を遺産分割の対象に含めると、遺産分割の対象となる遺産の総額は6000万円(2000万+2000万+2000万)です。
各子供の相続分は4分の1なので、それぞれの子供の相続分は1500万円ずつとなります。そして、長男はこれを超える特別受益を生前に得ているのでなんら遺産を取得することができません。
しかし、預金債権を遺産分割の対象に含めなければ、預金債権の4分の1の500万円は確保できるという事になります。
実際は特別受益というのはなかなか認められませんが(受益を受けてる相続人はそれなりに被相続人に対して介護等の扶養義務をはたしている事が多いからでしょう)特別受益が問題となるケースでは、気を付けなければならない点かと思います。