支払督促が妥当する場合とは?

こんにちは。今日は物販サイトの利用規約や特定商取引に関する法律の表記に関する文言のチェックについてご依頼をいただき、いろいろ文献を調べていました。

普段こういう書面チェックの依頼を受ける事はほとんどないのですが、こういう仕事をすると最近の法改正の動向とかも詳細に調べるのでとても勉強になります^^

さて今日は、支払督促のメリットデメリットについてブログにしたいと思います。

ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、これは訴訟の簡易バージョンみたいなもので、例えば100万円払えというのを訴訟ではなく支払督促でいけば相手に異議がない場合、簡単に債務名義がとれて強制執行ができるようになります。

そのため使い勝手のいい制度のようにも思えるのですが、実はけっこう使いにくいものとなっているのが現状です。

1、第一回の口頭弁論期日が指定される早さ

債権を回収するのはスピードが重要です。遅ければ遅いほど相手の財産は散逸していく可能性があるからです。

この点、支払督促は相手に異議がなければ、仮執行の宣言を付してもらって強制執行ができるので債権回収が早いとも思えます。

しかし、異議を出されれば通常の訴訟に移行するので、訴訟と同じく第一回目の口頭弁論期日が指定されます。

しかしこの一回目の期日というのが支払督促を経由している分遅くなります。なぜなら支払督促の場合、異議の手続きを踏んだ上で口頭弁論の期日を指定されるところ、訴訟の場合、訴えを起こせばいきなり第一回目の期日を指定してくれるからです。

異議がどれくらい出されるかの統計はちょっとわかりませんが、異議自体は理由がなくてもかまいません。単に異議がある旨を裁判所から送られてくるひな形で送り返せばいいだけです。そのため強制執行を引き延ばすという理由のみでも異議を出してくる可能性があります。

2、管轄

管轄の点でも問題があります。支払督促は相手方の住所地が管轄裁判所になります。そのため大阪の債権者が東京の債務者に貸金債権取り立ての支払い督促を起こす場合、東京の簡易裁判所の書記官にあてて起こします。

そして債務者が異議を出せば、そのまま東京の裁判所で事件が引き継がれることになります。そのため、大阪の債権者は口頭弁論の度に時間と費用をかけて東京に出張することになります。これは請求額が少なければそれだけで訴訟を断念せざるを得ないほどのリスクです。

これに対して、最初から貸金債権の訴訟を起こしていた場合、一般的には債権者の住所地である大阪の裁判所で訴訟を起こせます。そのため交通費や時間に無駄がないです。

3、まとめ

まず、相手が遠方の場合は、上記の様にによほどの合理的理由がなければ支払督促は止めておいた方がいいと思います。異議を出された時のリスクが大きすぎるからです。

相手が近くに住んでいる場合は支払督促も考慮の余地がでてきます。その際は相手がどれくらい争ってくる可能性があるかとの兼ね合いになってきますが、基本的には理由がなくても異議自体は出せるので、その分債務名義を取るのが遅くなる可能性があります。

そのためよほどの事情がない限り、訴訟をベースに考えた方がいいのではないかと思います。