社長が会社から借金をするリスク

こんにちは。朝晩はめっきり冷えるようになってきましたね。鍋の恋しい季節到来です。

僕は、司法書士とは別に有限会社を経営していたことがあるのですが、その時の経理上の失敗談をご紹介したいと思います。

会社は、個人と別の人格があり、かつ法律によって作られた人なので、生活費とかもかかりません。そのため、個人より厳格な貸借の一致が要求されます。

しかし、当時は簿記の知識もあまりなかったので、領収書もいい加減な保存でしたし、会社と個人でどちらの経費にするかとか、とにかく帳簿がごちゃごちゃになっていました。

そこで、年度末に数字が合わないと、会社から個人(社長)にお金を貸した形にして無理やり数字を合わせていたんです。

最初は少額だったのですが、毎年の累積で、貸付金が結構な数字になりました。

ちょっと、こりゃいかんと思い、税務署に相談したところ、まー会社は営利を目的にしているので、社長とはいえ無償で会社がお金を貸すのはおかしいですから、ちゃんと利息をとってくださいと。

ということで利息をとると、意味もない利息収入が計上されるので、その税金を払うはめに(汗)

それと、社長への貸付が計上されている貸借対照表は、会社が融資を受ける際に困ります。

一般論としては、会社が借金をしている場合に融資が受けにくくなる要因となります。借金の額が増えると、それだけ回収の可能性も低くなるからです。

しかし、会社がお金を貸している場合(貸借対照表の資産の部に、貸付金が計上されている場合)も同じように融資は不利になるというのが私の経験則です。

融資担当者曰く、会社に融資したのに、そのお金がそのまま社長に流れていくように思えるからだそうです。

当然といえば当然ですね。

このような結果になった原因はなにかと言いますと、ずさんな帳簿管理の帳尻を合わせるために、会社から個人への貸付処理をしたところにあります。

そんなこともあり、個人の収入から会社に毎月少しずつ返済する形にして、会社の貸付金勘定を減らす対策をとりました。

ところで、ちょっと前に会社法が改正されて、1円の資本金からでも会社を作れるようになりました。

私のお客様でも、1円の資本金で会社はできますか?と相談されることがあります。

そんなとき私は「1円でも法律的にはできますが、実際はある程度資本金を積んだ方がいいです。」とアドバイスしています。

なぜなら、1円で会社を設立した場合、最初に100円のボールペンを経費で購入する場合も99円を社長から借りるという記帳をすることになります。

これはあまりにも煩雑ですし、どうせすぐ借りることが明らかなら、当面の運転資金は資本金で積んでおく方が記帳上もすっきりします。

無理のある記帳をすると、最初は少額でも、たまりにたまってボディーブローのようにきいてくることがあります。