小規模個人再生と給与所得者等再生の比較

こんにちは、大阪の司法書士小林一行です。

最近は債務整理でご相談に来られた方で、個人再生(民事再生)を選択される方が多くなりました。元金が圧縮(原則5分の1)されるので、毎月の支払が大幅に楽となるため、どうしても自己破産は回避したいという方にはお勧めです。

個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生という2つの選択肢があるのですが、どちらを選択すべきかについて、基本的には小規模個人再生を選択すべき案件が多いかと思います。

なぜなら、給与所得者等再生の場合は、可処分所得の要件が定められており、借金が元金の5分の1まで圧縮されないケースが想定されるからです。

特に独身の場合は、生活費があまりかからないような計算がされるので、可処分所得が多くなり、借金もあまり減額されない方向になりやすいです。

もっとも、例外的に給与所得者等再生を検討すべき場合もあります。それは債権者数が少ない場合です。

なぜなら、小規模個人再生の場合、債権者が一定の割合(総債権者の半数以上か、総債権額の2分の1超)で再生計画案に反対の書面回答を行うと、再生計画の不認可の決定がされるからです。

たとえば債権者数が2人とかの場合、1人が反対するとこの要件が満たされません。

これに対して債権者数が多いような場合はあまりこういう問題は生じません。なぜなら、そもそも債権者が再生計画案に反対することが少ないからです。

おそらく反対すれば民事再生が不認可となり、自己破産しか道がなくなるので、債権者から見ればより債権の回収額が減るからでしょう。

また、債権者数が多い場合は、一人くらいの反対でも計画案は通るので、あえて手間をかけてまで計画案に反対の書面を提出しないという面もあるかと思います。

それに対して、債権者数が少ない場合は、各債権者の議決に対する影響力が高まるため、積極的に反対の意思表示を示す可能性も高まります。

そのため、小規模個人再生の申立てをする前に反対の意思を債権者に確認し、一定数の同意が見込めない場合は、給与所得者等再生を検討すべき必要もでてきます。

ただし給与所得者等再生には、小規模個人再生にはない要件もあるので注意が必要です。

例えば、給料等毎月の収入額が安定していることや、過去に破産の免責決定の確定を得てから7年以上たっている事などです。

このような場合は、給与所得者等再生が認められないので、半数の決議等も得られないような場合は個人再生が難しく、自己破産や任意整理等、他の債務整理方法を検討せざるえないという事になります。